この記事でわかること
コンテンツディレクターをやることになったのですが、ライターはこれから集めるとのことで、私がライター募集をしてチームを編成することになりました。どのような基準で採用をすればいいか?また、いいライターを集める方法があれば教えてください。
ライター採用はコンテンツディレクターの重要業務!
ユーザーとの接点を増やして自社のことを認知してもらい、さらに内容を読んで信頼してもらうための役割を担うのがコンテンツですので、そのコンテンツをいかにして制作するかは、ウェブマーケティング成功の鍵を握ると言っても過言ではありません。
そのような重要な位置付けにある記事コンテンツですが、多くの場合は社内で内製することは難しく、記事制作会社やクラウドソーシングに発注をしてコンテンツを用意することになります。
特に、クラウドソーシングでコンテンツを発注する場合は「どんなライターに記事を書いてもらうか」がとても重要になりますので、いかに自社にマッチしたライターを採用して、いいコンテンツ制作チームを作れるかがコンテンツディレクターの重要な仕事のひとつと言えるでしょう。
ただ単に“3,000文字の記事を3,000円で書いてくれるライター”を集めるのか、それとも、ディレクターとしてライター採用も重要業務だと理解した上でライターを採用するのかで、コンテンツ制作の施策の結果は大きく変わってきます。
何を優先してライター採用をすれば良いか?
ライターを採用するにあたって見るべきポイントはいくつかあります。
この章でもそのポイントをいくつか解説しますが、優先すべきポイントに正解はなく、クライアントによって、もっと言えば同クライアントでも案件(サイト)によって優先すべきポイントは異なります。
重要なことは、
「コンテンツディレクターとしてこの案件で優先すべきことは何か」
そして、
「優先すべきことによって発注の仕方も変わる」
ことを理解することです。それを理解しないことには、案件に適したいいライターの採用は厳しいでしょう。
また、この案件では「なぜその事柄を優先順位高く持っているのか」という本質的な理由を理解することもディレクターとして重要な役割になります。
ここからはライター採用にあたり優先すべき代表的な3つの項目を解説します。ご自身が携わる案件と照らし合わせて、今やってる案件の優先順位は何か、考えてみてください。
①費用がかかっても品質を優先する
費用がある程度かかっても品質を最優先する案件です。
この場合はライターのポートフォリオや実績をみて、理想的としている記事を書ける能力があるライターを採用します。上限単価を決めると能力が制限されてしまうので、この場合は単価でスクリーニングせずにとにかく能力を見るようにしましょう。
一般的に、単価が安いよりも高いほうが記事の品質は良くなる傾向にありますが、単価が高くなったとしても、とにかく高い水準で品質を保つことを優先とする考え方です。
高品質な記事を制作するのは時間がかかりますし、費用がかかって良いとはいえPJの予算に限りがあるので、毎月の作成できる記事数は少なくでしょう。
②予算内で記事数を最大化する
記事単価はなるべく抑えて、記事数をできるだけ増やしたいという案件です。これが一番ディレクターとしての腕の見せ所かもしれません。
記事数最大化を優先にするケースは、オウンドメディアの立ち上げを短期間でガツっとやりたい場合や、出来るだけ早く競合サイトの記事数に追いつきたい場合などが挙げられます。
記事数を優先するとはいえ、最低限の品質を保たなければユーザーに信頼されるサイトにはなりませんし、最低限の品質を保つためには記事単価も安値の限界値があります。
このような、ライターに最低限適切な報酬をお支払いしつつ、記事数を最大化させるという相反する課題を解決するのがディレクターの役割で、腕の見せ所と言えるでしょう。
③記事数を維持したまま単価を下げる
予算内で記事数を最大化させることと似ていますが、記事数を維持したまま単価を下げて全体の外注費を減らすこと優先とするケースもあります。
これは、サイトとしては投稿する記事数を維持したいけれど、プロジェクトとして予算を削減されてしまった場合などに当てはまります。
この場合はこれまでよりも単価が低いライターを採用します。
ただし、単価が下がれば品質も下がる傾向があるので、クオリティを下げても良いかどうかの確認と判断が必要になります。
クオリティを下げても良い場合は単純にこれまでよりも単価が低いライターを採用すれば良いですが、クオリティをある程度維持したい場合は、どこかでクオリティを維持できる要素が必要です。
例えば、ディレクターが記事構成を作成してライターのリサーチの工数を削減してその分安く依頼する、というやり方があります。
④確実な記事数を確保する
自身が二次請けのような場合で、確実な記事数の確保を最優先とする案件です。
自身が依頼を受けたクライアントAが、どこか違うクライアントBから記事制作の依頼を受けて下請けに出しているケースでは、クライアントAにも納期が決められているため、よりシビアに納期が定められて、納品遅れなども厳しく対処されることがあります。
【図解】
このような案件では、先回りして余裕を持った発注をしたり、柔軟に対応してくれるライターを確保したりと、よりディレクション能力が求められるでしょう。
真面目なライターを募集する方法
ディレクターであれば誰もが「真面目に記事を書いてくれるライターに依頼したい」と思うことでしょう。
多くのコンテンツディレクターから「真面目に記事を書いてくれるライターさんが見つからない」と嘆きの声が聞こえますが、そのようなコンテンツディレクターにお伝えしたいのは、
「ディレクションひとつで集まるライターの質が変わる」
ということ。
つまり、真面目なライターが集まらないのであれば自分のディレクションを見直して、真面目なライターが集まるようなディレクションをすれば良い。ということなのです。
ライター集めは集客と同じと考える
真面目なライターを募集するため重要な項目は「募集要項」の書き方です。
一見当たり前のように思えるかもしれませんが、クラウドソーシングのライター募集要項を見ても「これでは真面目なライターが集まらないよな」という案件ばかりなのが正直な感想です。
では、一体どういう募集要項を書けば真面目なライターが集まるでしょうか。
考え方は「集客」と同じ
結論からいうと、ライターを募集するときはお客様を集客するときと同じつもりで募集要項を書きましょう。
例えば、SEOのセミナーを開催してお客様を募集するときに、ただ単に「SEOセミナーやります!」だけではなく、集客するためにターゲットを明確にしてニーズに対して的確に訴求するLPを書くなど、具体的にセミナー内容を伝える努力をすると思います。
これはライター募集も同じで、ただ単に「2,000文字/2,500円医療系のライター募集します」だけではメッセージがぼやけているので、こちらが求めているライターが集まりません。
しっかりと「このようなライターに応募してほしい」というメッセージが伝わるような募集文を作成することで、真面目なライターが集まります。
クラウドソーシングで募集する際は、デザインされたLPのようなページで募集することはありませんが、募集ページの限られたフォーマットの中で最大限にライターに訴求することで、相性の合う真面目なライターが集まります。
メリットよりもベネフィットに訴求して募集する
では、募集文でどんなことに気をつけて文章を書けば良いかというと、ポイントは「メリットよりもベネフィットに訴求して文章を書くこと」です。
- 記事数
- 文字数
- 文字単価
- 納期
などのアピールはメリットに訴求しており、打算的な考え方のライターが集まりやすいです。
一方で、
- サイト(会社)の理念
- サイト(会社)の世界観
- どんなユーザーに読んでもらいたいか
など、一見伝えても意味がなさそうな想いや在り方を伝えることで、打算的ではなく熱意を持ったライターが集まりやすくなります。
さらに、
- 記事を書く意味
- この案件を受けることで得られること
など、この案件を受けることでライターにとってのベネフィットは何かを明確にすることで、募集金額の相場以上に真面目なライターが集まりやすくなります。
お客様を集客するためのLPや商品ページでは当たり前のように意識するポイントですが、ライター募集となるとここまでベネフィットに訴求している業者は少ないと思います。
メリットの訴求だけになっている募集文と、ベネフィットへ訴求している募集文では、ライターの反応も全くことなるので、ぜひ試してみてください。
ライターの立場を考えると採用がうまくいく
ここまで、ライター募集時の優先順位の決め方や、募集要項の書き方など、テクニック的な要素をお伝えしましたが、根本的に重要なのは「ライターがそもそも気持ちよく受けたいと思う案件かどうか」ということ。
コンテンツディレクターは「ライターをまとめてディレクションをするのは大変」というイメージがあるかもしれませんが、ディレクターを助けてくれるのはライターです。ライターがディレクターの日々の業務を助けてくれます。
長期的な案件のライターを募集するときは、場合によっては数年単位でライターとお付き合いすることになるかもしれませんし、たとえ最初の依頼は短期案件だったとしても、相性が合うライターはいつか別の案件で依頼することにもなると思います。
いずれにしても、ライターの気持ちを考えて、ライターが気持ちよく受けたいと思える案件にすることで採用がうまくいき、自分の仕事を楽にすることに繋がります。
とはいえ、ライターの全ての気持ちに応えることはできないと思いますが、重要なことはライターのことを考えて採用活動ができるか?ということ。
では実際にライターはどのようなことを気にしてお仕事をしているのでしょうか?
収入を計算できる案件を受けたい
フリーランスなど専業でライターをしている方は、できるだけ収入の基盤を作りたいと考えます。
会社員ではないフリーランスの方は収入に変動があるので、毎月安定して依頼をしてくれるクライアントの案件を優先したいと思っています。
- 毎月決まった本数依頼する
- 毎月決まった報酬額で依頼する
というような案件です。
当然、仕事ができる人に仕事が集まるので、いいライターには案件が集中します。その中から少しでも自分の案件に時間を使ってもらえるような報酬条件を用意しましょう。
空いた時間にサクッと稼ぎたい
毎月安定した収入が欲しいという方がいる一方で、隙間時間にサクッと稼ぎたいという方もいます。Webライターをやっている人の多くは「パソコン一つで隙間時間にサクッと稼げる」という魅力に惹かれてWebライターをやっているので、その願いに応えてあげる条件を用意しましょう。
ある意味“都合の良いクライアント”になりますが、急に記事が必要になったときに声をかけやすいので、実はディレクターとしては助かるライターです。
中長期的に継続した案件を受けたい
こちらも「収入を安定させたい」「収入の基盤をつくりたい」という気持ちから中長期的に継続した案件を望んでいます。3ヶ月、6ヶ月、1年という単位で契約を希望しているライターもいます。
新規にライターを募集する段階で、いきなり中長期契約をするのはリスクですのでおすすめはしませんが、PJとして中長期で記事コンテンツが必要なのであれば、その旨を募集文に記載するとライターの反応もよくなります。
自分の実績としてポートフォリオに使いたい
ライターは自分の実績を紹介するためにポートフォリオを作成している方が多いですが、納品した記事をポートフォリオに公開することを禁止している案件もとても多いので、ポートフォリオが充実しないという悩みを持っています。
ですので、差し支えなければ「ポートフォリオ記載OK」としてあげることで、ライターの目に留まりやすくなります。また、記名記事として、公開する記事に執筆者の名前を掲載すると喜んでいただけます。メディアとしてもライターの名前が掲載されていることで、メディアの信頼性が高まる可能性もあります。
これらは、いいライターの採用に直接影響する訳ではありませんが、ライターとの関係作りの手段としては役に立ちますので、ぜひ検討してみてください。