良いライターに継続してもらうために

コンテンツディレクターとして仕事をしていると、段々と「このライター相性合うな」とか「このライターは意図を汲み取ってくれているな」とか、いわゆる“いいライター”とお仕事をさせてもらうことも増えてきます。

当然、いいライターが集まればそれだけいいチームが構築されるので仕事の質も高くなり、プロジェクトが右肩上がりで成果を出すようになっていくので、ディレクターとしては

  • できるだけいいライターに集まって欲しい
  • いいライターにはできるだけ残って欲しい

と思っていることでしょう。

中にはシビアな予算感でマネジメントをしているディレクターもいると思うので、「予算がないから、いいライターを繋ぎ止める報酬を払えないよ」というご意見もあるかもしれません。

もちろん、高い報酬をお渡しできるのがベストですが、今回お伝えするマインドセットは報酬に頼りきりにならずにライターに継続してもらうやり方と考え方ですので、ギリギリでやりくりしているディレクターにも参考にしていただけると思います。

良くも悪くも、いいライターに継続してもらえるかどうかはディレクターの腕次第。ということで早速みていきましょう!

目次

手厚くサポートするライターを見極める

複数のライターを抱えてのディレクションとなると、ライターの特性やスキルもさまざまなので全てのライターに平等に時間を費やすことは現実的にできなくなります。

サクサクっとこなしてくれるライターAさんもいれば、悪気はないのだろうけど不器用で上手く噛み合わないライターBさんもいますし、はたまた、可もなく不可もなくという無難なライターCさんもいるので、自ずとライターの対応に差が出てくるものです。

ここでポイントになるのは、限られたリソースの中でどのライターにそのリソースを割くのか?という点です。

ちなみに、シチュエーションの前提を整えると、この段階ではみなさん同単価で発注しており、予算の関係で報酬の増額は基本的には見込めない、ということにしましょう。

この時ディレクターとしては、サクサクっとこなしてくれるライターAさんは手間がかからないので、簡単に要件だけ伝えてどんどん記事を作成してもらうという流れになり、ライターAさんとのやりとりの時間は最小限で済みます。

ライターCさんも、可もなく不可もなくですのでライターAさんほど進捗は早くないけど、特に手間になることもなくやりとりは最小限に済みます。

問題はライターBさんに対してのやりとり。記事の品質も決して悪くはないし、もう少し慣れてもらえば手間もかからなくなるだろう、ということで、ライターA,B,Cさんの中で一番リソースを割くのはライターBさんになることはよくあります。

しかし、一番リソースを割くべきなのはライターAさん。ディレクターが仕事をしやすいチームを構築するためには、一番手間がかからないライターAさんに対して丁寧にリソースを割いた方が、その後がどんどん楽になっていきます。

いいライターには一層丁寧なやりとりを

では、なぜいいライターには一層丁寧なやりとりをする必要があるのでしょうか。その理由は2つあります。

1つ目は、この先も継続して依頼を受けてもらうためです。

ライターをアウトソーシングする場合、最初に集めたメンバーがこの先もずっと継続してくれることはなく、必ずライターの入れ替わりが発生します。

入れ替わりを繰り返す中で、できるだけプロジェクトとディレクターに相性が良いライターを残していき、優秀なメンバーでチームが構成されていくのが理想です。

誤解を恐れずに言うと、残すライターと残さないライターを見極めて、残さないライターは入れ替わっていくものだ、というぐらいの考え方でちょうど良いとも言えるでしょう。

逆にいいライターは出来るだけ継続してもらいたいので、可能な限り丁寧な対応をして引き止めるつもりが理想的。

もっとも、わざわざ引き止めるようなことをしなくても、ライターから継続したいと思ってもらえるような条件であることが理想ですが、理想的な状態でマネジメントできないのがWebマーケティングともいえるので、いいライターに継続してもらうためのディレクションも、ディレクターの手腕が問われるところです。

2つ目は、コスパをどんどん良くするためです。

不器用でうまく噛み合わないライターBさんは、そもそもマイナスからのスタートなのでフラットな状態にするまでにも時間がかかり、無難に質の良い記事を書いてもらえるようになるまでにはさらに時間がかかることが予想されます。

一方でライターAさんは最初からサクサクこなしてくれる上に、これからのサポートをより丁寧にすることで、仕上がりの質もより高くなり、納品も早くなっていきます。

ディレクターとしてはどんどん手間がなくなっていき、別の業務や頭を使う作業に時間を当てることができるようになるため、コスパがどんどん良くなっていきます。

また、丁寧なやりとりと言っても、ずっと高い熱量で丁寧にやりとりしなくても大丈夫で、最初の5件〜10件分ぐらいの依頼を丁寧に行えばライターとの信頼も高まっていき、その先は通常のやりとりをベースに要所で的確なアドバイスができれば十分です。

このように、メンバーの入れ替わりが行われる中で、ライターAさんのようなライターが集まるチームで構成されるようになれば、記事制作におけるディレクターの手間は限りなく抑えることができるのです。

全ては自分の仕事が楽になるために行うことを念頭に置き、ライター対応をしていきましょう。

単価以上の価値を提供する

いいライターには相応の対価をお支払いする必要がありますが、予算が限られたプロジェクトの場合、ライターへの報酬を増額したくてもできないケースが多々あります。

もしお金で対価をお支払いできない場合は他に何ができるかを考えて、依頼している記事単価以上の価値を提供してみてください。

例えば、

  • 記事構成の作り方
  • SEO対策のやり方
  • より良い記事にするための添削

これらの情報は喜んでくれるライターが多いです。

また、情報だとしてもプラスの価値を提供するのが難しい場合は、ライターの手間を削減してあげて実質の単価を高くする方法もあります。

基本的にライターは、

  • その記事を書くにあたりどのぐらいの手間がかかるか
  • リサーチにどのくらいの時間を要するか
  • 執筆にどのくらいの時間を当てることができるか

というような、手間賃で報酬を考えていますので、これらの手間を削減できないか検討してみてください。

手間削減のやり方は、例えば、

  • リサーチの参考URLを送る
  • 記事構成を作成して渡す
  • 記事構成のパターンを同じにしてあげる
  • 書き出し文やまとめ文を依頼しない(記事単価の場合はその分の執筆量が減り実質文字単価が上がる)

などがあり、いずれもディレクターの範疇で対応できる施策であり、これも立派な価値として考えられます。

発注数が少なくても依頼をゼロにしない

プロジェクトを進めていると「毎月、こんなに記事数いらなくない?」と見直しが入ることがあり、実際に発注数が少なくなってしまうことがあります。

これまでガッツリと記事数を書いてくれたライターたちに、発注数削減を伝えるのは悲しい気持ちになりますが、たとえ依頼が少なくなってしまっても依頼数をゼロにはしないようにしましょう。

優秀なライターたちは、依頼がゼロになれば別の案件に力を注ぐことになり、そこからもう一度こちらの案件を受けてもらうのは難しくなりますが、細々とでも依頼を続けていれば、再び記事数を増やすことになったとしても比較的受けてもらいやすいです。

優秀なライターたちをゼロから採用してチームを再構成するのは、時間的にも金銭的にもコストがかかることはイメージできると思います。チームの再構成を考えると、プロジェクト的に予算が厳しいときでも細々と発注を続けた方が結果的にコストがかからずに済みます。

このようなやりくりも含めてディレクターの仕事ということを覚えておきましょう。

【最後に】自分達の仕事を優先してもらえるようにしよう!

ディレクターが優秀だと思っているいいライターは、当然他のディレクターから見てもいいライターであり、ぜひとも採用したいと考えています。

ディレクター界隈でのイベントやセミナーに参加すると必ずと言っていいほど話題になるのが「いいライターいませんか?」「いいライターどこで見つけていますか?」といった、ライターのリクルーティングの話です。

中にはライターの良心につけ込んで囲い込みをしている業者もいるようですが、そのような無理矢理継続させるようなことをせず、ライターから率先的に「優先してこの仕事をしたい!」と思ってもらえるように心がけてマネジメントをしましょう。

もちろん、案件やPJによっては制限があってやりたいようにディレクションができないこともあると思いますが、できる範囲でいかに最大化、最適化するかを考えるのも、ディレクターのおもしろいところかもしれません。

ディレクションをしていく中で、いいライターが見つかり継続して依頼できるようになったということは、業務が流れ始めたともいえます。

流れができるまでの最初の数ヶ月は大変かもしれませんが、一度流れができればその後の大変さは軽減されるので、ここから先はより良いチームになるように、ディレカレの「コンテンツディレクターの実務を徹底解説」のパートを繰り返し読んでチーム作りの参考にしていただければと思います。

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