コンテンツディレクターを悩ますトラブルで比較的みなさんが経験するであろう「納期遅れ」。納期を守ることは社会人として当たり前で、さらに、信用が重要であるフリーランスなら納期遅れはご法度ですが、それでも納期に間に合わないトラブルが無くなることはありません。
納品が遅れることの連絡すら送ってこないライターもたくさんいるので、ディレクターの心構えとしては、納期遅れは当たり前のようにあるつもりで対処することが望ましいでしょう。
ディレクターの中には「webマスターとしての社内ディレクター」と「制作会社やフリーで活躍しているコンテンツディレクター」のケースがありますが、それぞれのケースで納期遅れの対応が異なることもあります。
そのため、この記事ではあらゆるケースを想定して納期遅れに対する対処法や事前準備について解説していきます。
あらかじめご了承いただきたいのですが、ここで述べるケースはあくまで傾向として捉えていただき、一概には言えないこともあることはご留意ください。
ただし、一概には言えないケースが多いとはいえ、これまで1000名以上のライターをマネジメントしてきた経験から傾向を述べますので、ある程度は当てはまるのではないかと思っています。
ご自身のケースや、今後起こりうるトラブルを想定して、参考にしてください。
納期遅れは当たり前のようにあることを認識する
冒頭でも触れましたが、残念ながらコンテンツ制作において「納期遅れ」は当たり前のようにあるのが実情です。
一括りにすると、真剣にやっているライターには申し訳ないのですが、ディレクターとしてはそのような実情があることを把握してマネジメントをすることで事前に対処ができるので、「納期遅れは当たり前にある」とお伝えすることにします。
納期をきっちり守るひとは最初から最後まできっちりしている
もちろん、納期をしっかりと守り、問題なく対応してくれるライターさんはたくさんいます。そして、そのようなきっちりしているライターさんは、基本的に最初から最後まできっちりと納期を守り、そつなく問題のない品質で納品してくれます。
主婦ライターの方が多いので、稀にお子様のご都合で遅れそうとご連絡をいただくこともありますが、事前にご連絡をいただけることはもちろん、遅れたとしても遅延を最小限にとどめる対応をしてくれる印象です。
1ヶ月以内に2回以上の納期遅れがある人は直らない
誰にでもミスはありますし、プライベートのトラブルはあるので、1回の納期遅れは多めに見てあげても良いのでは?と思っているのですが、複数回重ねるライターはそれが癖になってしまっているので、直ることはないと思った方が無難です。
特に、1ヶ月以内に2回以上の納期遅れがある人は、今後も自分がマネジメントする案件内で納期遅れが直ることはまず無いでしょう。(本案件で反省して、別の案件では直ることはあるかもしれません)
それが仮に主婦ライターの方で、お子様の都合で納期が遅れたとしても、今後も同じようなことは繰り返し起きると想定しましょう。
ただし、納期遅れが必ずしも悪いわけではありません。
「納品は遅れがちだけど真面目にやってくれるから、継続して依頼したい」
と思われるのであればそれでも構わないと思います。
遅れに対してディレクターのマネジメントでやりくりできることもあるので、継続するか、終了とするかは、ディレクターの判断になります。
納期遅れが起きがちなNGパターン
ここからは、納期遅れが起きがちなパターンをご紹介します。
ディレクターとしての理想は、初めから納期遅れが無いライターに依頼できることだともいますし、きっちりと品質を維持して納品してくれるコンテンツ制作チームを構築することだと思います。
そこで注意していただきたいのは、納品が遅れるのは必ずしもライターだけが悪いわけではないということ。実は、納品が遅れがちな発注パターンもあるのです。
ライター側のパターンとディレクター側のパターンを、それぞれ見ていきましょう。
ライター側のNGパターン
パターン①:本業をフルタイムで働いている人
誤解を恐れずに言うと、本業をフルタイムで働き、帰宅後の時間や土日の時間を使って副業でライターをしている人も多いと思いますが、このパターンのライターは納期遅れや品質の低下が起きやすい傾向にあります。
帰宅後となると、どうしても本業の仕事疲れもあるので集中力も持続しにくいでしょうし、休みたいという気持ちが勝ってしまうこともあり、じっくりと記事を書くのが難しくなりがちです。
また、本業で急に残業が入ったり、急なトラブルで休日出勤ということもありますが、どうしても副業であるライター業は後回しにされがちなのも事実。
それはそれで仕方ないので、そのようなライターを咎めることはありませんが、自分達の案件で採用するかどうか?となると、厳しいですよね。
パターン②:副業を言い訳にしている人
中には応募の段階で「副業だから納品が遅れるかもしれません」と言い訳をするライターもいます。
いくらこれまでの実績やポートフォリオが素晴らしくても、そのようなライターはプロジェクトの進行に支障をきたす可能性が高いので、募集の段階で「副業だから」と言い訳をしているライターには依頼しないようにしましょう。
ディレクター側のNGパターン
パターン①:10本以上のコンテンツ制作を一度に発注したとき
ディレクターとしては、ライターとのやりとりの回数を減らしたいので、一度に本数をまとめて記事を発注することもあると思います。
まとめて発注は、ディレクターにとっては一見楽なように思うのですが、これが納期遅れのパターンなのです。
理由は、ライターがスケジュール管理を自分でできないから。
「1ヶ月で10記事」と発注した場合、単純に計算したら「3日で1記事」書けば問題なく納品できるスケジュールになりますが、納期まで1ヶ月も余裕があると思うと「まだ時間があるから大丈夫」というように夏休みの宿題現状が起きがちです。
仮に当初の納期通りに記事を納品してくれたとしても、納期ギリギリになって書き上げることも多く、急いで書いた記事は品質が雑になりがちなのも問題。
確かに10本納品されたけど、うち5本は内容がめちゃくちゃでとても読めるような品質ではない、という事態もあるのです。
その結果、待っているのはディレクターの修正対応や別のライターへの再発注などの“急ぎディレクション”です。
10本以上の大口発注をしているディレクターは、発注内容を見直すもの良いかもしれません。※ディレクターができる工夫は次の章で解説しています。
パターン②:一記事あたりの制作期間が曖昧なとき
こちらはパターン①と似たようなケースですが、例えば「1週間で3本納品」のような、一記事あたりの制作期間が曖昧なときは納品が遅れがちです。
理由も同じく、ライターがスケジュール管理を自分でできないから、に尽きますが、スケジュール管理ができないライターはたとえ納期を手前に置いたとしても管理ができずに納品が遅れがちになります。
パターン③:納期が近すぎるとき
記事数に対して納期があまりにも近いときは、納品が遅れがちです。これに関してはそもそも無茶な依頼だったと思って、ディレクター側が見直さなければなりません。
特に初めてお仕事するライターや、まだ関係性が築けていないライターに対しては、納期が近い依頼はリスクが大きいので、1記事の依頼に対して納期を5〜7日後ぐらいに設定するのが無難でしょう。
また、ライターは仕事が欲しいことが勝ってしまい、自分の力量以上のスケジュールでも案件に応募してくることも多々あります。
「納期は守れるかわかりません」というライターは正直かもしれませんが発注することはないでしょう。つまり、ライターに伺えば「納期は守ります」と言うと思いますが、それが背伸びしていることもあるのです。
納期を近くにしてライターを試すよりも、ある程度余裕を持たせた上で、早めに納品してくれるライターを見つけ出した方が、適切な能力を見極めることができます。
納期が遅れないようにするためにディレクターができる工夫は?
厳しいことを言うかもしれませんが、納期遅れはディレクターのマネジメントがうまくできなかったことが原因です。
コンテンツ制作の品質の責任を担う以上は、たとえライターの問題が大きかったとしても自分の責任として捉えなければなりません。
ですがその責任感があれば必ずディレクションはうまくいくようになりますし、意識をすれば納期が遅れないようにするための工夫をディレクター側でできるようになります。
その工夫を つ紹介するので、ぜひご自身のディレクションにも参考にしてください。
時間に融通が効くライターに依頼する
納期遅れのライターに悩んでいるのであれば、採用するライターを「時間に融通が効くかどうか」という点を基準にしてみてください。
ライターの採用をするときに、どうしても「これまでの実績」や「ポートフォリオ」などの“完了したもの”で判断しがちですが、その実績やポートフォリオを作るまでのプロセスはわかりません。
もし、納期遅れの後に完成した記事だったら?納期遅れでも悪い評価をしていない発注者だったら…?
などなど、実はこれまでの実績やポートフォリオはあてにならないこともあるのです。
それよりも、
- まとまった時間を確保して執筆してくれるか
- 真面目に取り組んでくれるか
という点を重視してライターを採用した方が、マネジメントがやりやすく結果的に成果も出るし、自分の仕事も楽になります。
時間に融通が効くかどうかで採用をしたことがない方は、一度ためしてみてはいかがでしょうか。
発注単位を小さくする
先ほども述べたように、大口発注をすることで夏休みの宿題現象が起きてしまい納期が遅れたり、品質が悪くなったりしてしまいます。
ディレクターとしてはライターとのやりとりをできるだけ少なくしたい気持ちはわかりますが、発注単位を小さく、できれば1記事ずつ発注をして、やりくりの経験を積むことも重要ですし、その経験が必ず今後のディレクションに役立ちますので、修行期間だと思って取り組んでみてください。
納期を遠くにせず手前に置く
納期を1ヶ月後のように遠い日付に設定すると、ライターとしては「まだ余裕があるな」と思いがちで、これまた同様に夏休みの宿題現状になりかねません。
また、納期が遠いと納品してもらうまでの期間に、ライターから連絡が何もこない状況が長く続きます。問題なく納品していただけるライターでさえ、長い期間連絡を取らないと「しっかり進捗しているかな」と不安になることも。
やりとりが少ないライターであれば尚更不安になると思いますので、まずは目安として、1週間の納期で納品してもらえるように依頼してみると良いでしょう。
一記事の中でもマイルストーンをさらに細かく設定する
発注単位を小さくして、納期を1週間ほどに設定しても、それでもうまくいかない場合は、一記事の中でもマイルストーンをさらに細かく設定しましょう。
例えば、
- 構成ができた段階で提出してもらう
- 参考にしようと思っている情報源を共有してもらう
など、記事を執筆するに当たっても区切りがいくつかあるので、その区切り区切りをマイルストーンとして設定し、その都度進捗を確認させてもらうのも、一つの工夫として使えます。
ただし、ここまで細かくやりとりするのはとても手間ですし、特別なこだわりがなければ、そのようなライターへの発注は取り止めにした方がプロジェクトが円滑に進むかもしれません。
自社で社員として抱えているライターであれば細かいフィードバックや教育が必要ですが、アウトソーシングしているのであれば、代わりになるライターはいくらでも探せますので、早めの見切りも視野にいれて対応しましょう。